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執筆者の写真山科 拓郎

【インタビュー記事】40歳を間近にパーソナルトレーナーへ転向。原 元氣が思い描く、元気な人をより健康にする未来とは?



福岡県の薬院駅、薬院大通駅から徒歩5分。「薬院パーソナルジムPEACH」の創業者である原 元氣さんは、20代をサーフィンに没頭して過ごし、30代ではバックパッカーとして世界を巡り、その後は飲食業界に従事。40歳を目前にフィットネスの世界へ飛び込んだ異色の経歴の持ち主です。オーストラリアで3年間サーフィンを教えた経験と世界を旅して得たコミュニケーション能力は、彼を40歳で未経験からパーソナルトレーナーへと転身させる勇気を与えました。


原さんは「継続は力なり」という信条のもと、トレーニングを“楽しむこと”の大切さを伝え、多くの人々の健康と幸せを支援しています。パーソナルトレーナーとしては遅咲きだったからこそ、理想の体型を目指して親身にアドバイスができるという信念や、経営における工夫、会員の6ヶ月継続率85%以上を達成する秘訣などについてうかがいました。



プロフィール


代表 原 元氣(はら げんき)さん


1981年長崎県生まれ。大学卒業後、メーカーで営業職を3年間勤めたのち、サーフィンの魅力に目覚めて渡豪。地元のサーフィンスクールで働く。30代に入り、ビザを延長する目的で通ったフィットネススクールで筋トレを始める。2021年、40歳を目前に未経験からパーソナルトレーナーになり独立。2022年、薬院パーソナルジム・PEACHをオープン。NSCA-CPT、ヘルスケア カタリストの資格を保有。





サーフィンへの情熱が高じて、ワーキング・ホリデーでオーストラリアへ


福岡でパーソナルジム・PEACHを運営する原元氣です。1981年、長崎県佐世保市で生まれました。昔から運動はわりと得意で体を動かすのが大好き。中学、高校時代はサッカー部に所属していて、キャプテンを務めたこともありました。


好奇心旺盛な性格なので、周りに経験者が少なかったという理由から、アイスホッケーも大学時代に経験しました。思えば、筋トレを始めたのはこの時期でした。ただ当時は、知識が希薄だったこともあり、なかなか体型が変わりませんでしたけど……。


そして、サーフィンとの出会いは営業職として就職が決まって、宮崎に引っ越しをしてからのことでした。宮崎は広いですから、営業車で走り回って、時間ができたら波に乗るような会社員をやっていましたね(笑)。当時は周りに友人もいなかったし、サーフィンに思う存分没頭できたんです。


パーソナルトレーナーを目指すようになるのは、まだまだ先の話です。20代も後半に差し掛かる頃、会社を退職したんですが、「さて、何をしよう?」と考えたとき、真っ先に思いついたのがワーキング・ホリデーでした。


当時、英会話スクールに通っていたんですが、そこの先生に言われたんです。「サーフィンと英語が好きなら、オーストラリアに行くしかないでしょ!」って。それで、1年ぐらい海外でサーフィン三昧の生活を楽しんでみようと決めました。やると決めたら、一直線な性格なんです(笑)。



バックパッカーや飲食業界を経て、未経験からパーソナルトレーナーに


向かった先は、オーストラリアのゴールド・コースト。“サーファーズ・パラダイス”とも言われ、観光客にも人気のある都市ですね。念願叶ってサーフィンスクールの仕事を見つけられたので、向こうでの暮らしには大満足でした。世界中から訪れる観光客を相手に3年間サーフィンを教えた経験は、指導のノウハウを得る意味で、現在の仕事に生かせていると思います。



在留から1年が経過しても、サーフィンスクールの仕事を続けたい一心でビザを延長しました。農業や漁業などの仕事に従事したり、就学したりして最長の3年まで。その際、フィットネススクールに通った経験も、現在につながっているのかもしれません。NSCA-CPTの資格は、その頃に取得したものです。ゴールド・コーストでは、みんな惜しげもなく逆三角形のボディを披露していて、それに憧れたのもフィットネスに興味を持つようになった一因でした。


同時期、アメリカ経由で筋トレの情報商材を購入して、そのメソッドを実践したことも大きな転機のひとつでした。私みたいな基礎代謝が高いタイプは、普段の食事量では摂取カロリーもタンパク質も足りていなかったみたいで……。ところが、体を鍛えるのと同時に、健康がもたらすポジティブな変化を実感し始めました。徐々に日々のパフォーマンスが上がっていくことも嬉しく、健康について学ぶきっかけにもなりましたね。その頃にお酒もタバコもやめました。



30代の頃は、いわゆるバックパッカーとして世界中を旅しながら、コミュニティ運営や情報商材の販売をしていました。ただ、話すと長くなりすぎるので、このあたりは割愛させてください(笑)。30代も後半に差し掛かり、帰国後は旅行中に知り合った女性と結婚。ハネムーンを兼ねた長期の国内旅行を予定していたのですが、妻が病気を患い、手術や療養のために地元の佐世保に生活の拠点を移しました。



その後は、叔父が経営している老舗のレモンステーキ屋など、複数の飲食店で4年ほど働いたんですが、飲食業界はあまり向いていなかったみたいで……(笑)。妻から、「あなたはもっと、人と接する仕事をしたほうがいいよ」と言われたことも印象深く、転職を決意する後押しになりました。そのときに過去を振り返った結果、やっぱり自分は健康の分野に携わりたいな、と。私は名前が“元氣”だし、人にポジティブな影響を与えられる仕事がしたい。そんな理由で、未経験からパーソナルトレーナーとしての道を歩み始める決意をしました。



フランチャイズからスタートし、ノウハウを蓄積


しかし、大変だったのはここからです。資格は持っていましたが、パーソナルトレーニングジムのことは右も左もわからない状態でした。そんな折に、運良くフランチャイズでジムのオーナー募集を見つけました。未経験でもOKとのことで、これはトライするしかない! 将来的に独立することを見据えると、ノウハウを得るためにもまずはお世話になる必要があるな、と思ったんです。



結果的には、これが大正解! 基本的なトレーニングプランや集客支援までしていただけたことで、うまく軌道に乗れたんです。自分は非常にラッキーだったと思います。実は、しばらくフランチャイズのままでいいと思っていたのですが、娘が生まれたのを機に「ジムの名前変えてもいいですか?」と相談したら、「いいよ! それなら、もう独立してみたら?」と励ましてもらえて。2022年に独立したときに名付けた“PEACH”は娘の名前が由来なんですよね。“桃ちゃん”だから(笑)。



一方で、フランチャイズを開始したばかりは、シンプルにトレーニングが大変でした。なんせ当時の体重は50〜60kg程度で、実績もなければ見た目の信頼感もない状態だったので(笑)。だから、会員様と一緒に成長するというコンセプトで頑張っていました。でも、後々お客さんにインタビューすると、私が鍛えすぎてなかったから、通うことを決めたと言ってくださることもあって、そういう視点あるのかと驚きました。良くも悪くも、自然とアットホームで親近感が湧く雰囲気ができていた……のかもしれませんね(笑)。



6ヶ月継続率85%以上は、“時短”と“ご褒美”のおかげ?


ダイエットや筋トレはつらいものではなく、楽しいことだと意識を変えていくのが重要だと考えています。そのためにも、タイムパフォーマンスはとても重要です。一般的に、筋トレって1種目を1セット3回やることが多いんですが、私たちの45分セッショントレーニングでは2セットでも追い込めて、結果が出せるプランを考案しています。なので、忙しい経営者さんや子育て世代の方にも好評です。



ジムの特色なのかもしれませんが、傾向としてはスマートな体型を目指される方が多い印象があります。なので、短い休憩でテンポよく鍛えてもしっかり効果を得やすいし、結果として時短も実現できているのかもしれません。




日頃から心がけているのは、お客様のモチベーション維持に貢献できるサプライズを用意することです。食事管理に困っている方には、代わりに買い出しに行って材料とレシピをプレゼントするとか。体を鍛えるだけでなくリラックスできる時間も大切だと思い、トレーニング後に行っている整体マッサージも好評です。アロマの香りで、眠ってしまうお客様もいらっしゃいます。



私自身、ご褒美がないと努力の継続が難しいタイプだったので、メリハリをつける大切さを知れたのかも。自発的に「やろう!」と思ってもらえる環境づくりが、会員様の6ヶ月継続率85%以上という結果につながっているのかもしれません。トレーニングを続けた結果、自信がついてパフォーマンスが向上したというお声をいただくことも多く、とてもやりがいを感じています。



パーソナルトレーナーの役割は、元気な人々をより健康にすること


私は、フィットネス業界の未来において、健康を全面的にサポートするアプローチへの期待を抱いています。このビジョンを実現する一歩として、ヘルスケア カタリストの資格を取得しました。こちらは、東京の麻布に位置するデポルターレクラブというトレーニングジムから提供されており、単に筋肉を鍛えること以上に、睡眠や栄養を含む全体的なケアの重要性を教える健康メソッドです。



私たちの役割は、医師が病気の人を治療するのとは対照的に、元気な人をより健康にすることにあると思います。理想としては、個々人にパーソナルトレーナーがつき、それぞれの健康をさらに向上させていけることです。しかしながら、この役割はまだ広く理解されていないと感じます。実際、日本におけるフィットネス参加者は全体のわずか3〜5%にとどまっており、日常生活におけるトレーニングの普及が進んでいるとは言えない状況です。


この課題に対処するために、オンラインプラットフォームを積極的に活用し、充実した食事管理サポートやコミュニティ形成を推進したいと思います。40歳を目前にパーソナルトレーナーとしてのキャリアをスタートした私の経験から言えることは、年齢に関わらず、健康に対する取り組みを始めることは可能だということです。同業の方も、理想のボディを目指したい方も、一緒に頑張っていきましょう!

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